レストレスレッグス症候群の初めての患者さん/印象に残る患者さん
その10: 深夜に廊下をふらつく脊髄小脳変性症の患者さん

野村 哲志 鳥取大学医学部附属病院 脳神経内科
「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」という病名を初めて知ったのは国家試験対策のイヤーノートでした。確か神経疾患のセクションで「ナルコレプシー」の次に載っていたのですが、「変わった名前の病気だな」と印象に残った記憶があります。最近、本当に国家試験に出題されたそうですが、私の時はそれきりで、しばらく「レストレスレッグス症候群」とは縁が切れていました。
ある日、脊髄小脳変性症のちょっと変わった患者Aさん(40歳代の男性)が転院されてきました。経頭蓋磁気刺激療法を受けるためです。脊髄小脳変性症は特定疾患に指定されている難病で、現在でも根本的な原因は分かっていません。進行はゆっくりですが、少しずつ身体の運動機能が失われていくので、将来を悲観してひどく落ち込んでしまう患者さんも珍しくない病気です。
ところがAさんは飄々とした様子で「いやぁ、先生、だんだん足元がふらついてきて困っとるんです。磁気刺激、よろしくお頼みします、はははは」と、本当に困っているのかどうだか分からないくらい、あっけらかんとしていました。確かに脊髄小脳変性症の患者さんではつかみどころのない性格の方が少なくないのですが、Aさんは中でも際立っていました。
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